2011-01-01から1年間の記事一覧

鎌倉・横浜・湘南今昔歩く地図帖

井口悦男・生田誠著、学研ビジュアル新書 古い絵葉書などの写真や、古地図と、現在の写真・地図を対比させて、湘南や横浜の歴史をかいつまんで紹介している。地元の歴史を多少は知ろうと思い、地元の書店で購入した。 たとえば、娼妓の絵葉書とともに戯曲「…

腹が凹む!体脂肪が減る!40歳からのジム・トレーニング

井上健二著、ソフトバンク新書 「Tarzan」の編集などに携わっている「フィットネスエディター」がジムでのトレーニングを紹介した本。ただ、具体的なトレーニングのハウツーはほとんどなく、なぜトレーニングが必要か、などの理論面や三日坊主にならないため…

非常識マラソンメソッド―ヘビースモーカーの元キャバ嬢がたった9カ月で3時間13分!

岩本能史著、ソフトバンク新書 非常識マラソンマネジメント―レース直前24時間で30分速くなる! - a follower of Mammonの元になった本。全体的なランニングの取り組み方が書かれているが、「マネジメント」で詳説されていることもだいぶ触れられていた。なか…

すべての人生について

浅田次郎著、幻冬舎文庫 「饒舌な作家」を自認する浅田氏の対談集。小松左京や陳舜臣、北方謙三、渡辺淳一、宮部みゆきの各氏ら作家が中心だが、中には中村勘九郎(現勘三郎)や李登輝というのもあって興味深い。話題も、浅田氏の作品にちなみ、「中国」や「…

非常識マラソンマネジメント―レース直前24時間で30分速くなる!

岩本能史著、ソフトバンク新書 100キロ超のウルトラマラソンに出場するランナーで、ランニングクラブを主宰する著者が、レース直前の過ごし方と、レース中の心得をまとめている。特に、レース当日の心得として、疲労防止のため、準備運動も含め、運動は極力…

アイム・ファイン!

浅田次郎著、小学館文庫 つばさよつばさ - a follower of Mammonに続く、JALの機内誌のエッセーをまとめた単行本第2段。本作も、機内誌だけに「旅」にまつわる話を中心に、稀代のストーリーテラーとしての軽妙な語り口が遺憾なく発揮されている。中原の虹1…

美女と竹林

森見登美彦著、光文社文庫 森見氏自身が登場し、「竹林経営」なる未来を妄想しながら、会社の同僚が所有する竹林を刈る(ことを妄想する)というだけのエッセー風小説とでも言おうか。「小説宝石」の連載だったようだが、文中でも再三言われているように、行…

ハッピー・リタイアメント

浅田次郎著、幻冬社文庫 元自衛官らがはちゃめちゃな活躍をする、浅田文学における「ギャグ系」の新作。今回は役人の天下りがテーマになっていて、債権回収のための特殊法人に、退職した自衛官と財務官僚が、時効を迎えた債権を回収して大金をせしめる、とい…

ルーヴルの名画はなぜこんなに面白いのか

井出洋一郎著、中経の文庫 府中市美術館館長によるルーヴル美術館の作品紹介。名画および彫刻の数々をカラー写真付きで紹介。「これだけは観たい」と銘打った3時間コースと、「一日たっぷり鑑賞する」6時間コースに分けて紹介されているものの、実際はほぼ…

夕映え天使

浅田次郎著、新潮文庫 浅田氏の最新短編集。人生のほんの1ページをともに過ごした女の死をきっかけに、中年のおやじ2人が邂逅する、典型的な浅田作品といえる表題作など6編。定年の日を迎えたおやじの悲哀を描いていると思いきやSF的な種明かしが待つ「…

フェルメール全点踏破の旅

朽木ゆり子著、集英社新書ヴィジュアル版 ジャーナリストが、フェルメールの作とされる作品37点全点の実物を鑑賞することを目指して世界中(といってもヨーロッパとアメリカだが)を旅するという趣向。実際には33点しか見ることはできないが、全点のカラ…

さよなら、愛しい人

レイモンド・チャンドラー著、村上春樹訳、ハヤカワ文庫 昨年秋からランニングを始め、今は1日10キロほど走れるようになった。今月は暑さやら忙しいやらで大して走れていないが、先月は計160キロになった。それはそれで充実感はあるが、一方でマイナス…

恋文の技術

森見登美彦著、ポプラ文庫 今度は書簡体小説である。京大(らしき)大学院生が、クラゲの研究のため、能登の試験場に半年飛ばされる。その間、「文通修行」と称して、友人や妹、先輩、家庭教師をしていたかつての教え子に至るまで、手紙を書きまくる。さすが…

深夜特急ノート 旅する力

沢木耕太郎著、新潮社 独特の装丁。帯には「〈最終便〉が、発車します。」とある。かつて、熱中した思い出がある読者なら、誰しも手に取ることだろう。言わずとしれた「深夜特急」に結実した、沢木氏26歳の旅の裏話集。これまでに語られたようなことも多い…

Tinkers

PAUL HARDING著、WINDMILL刊 昨年のピューリッツァー賞受賞作ということで何気なく購入。ネットの情報によると、「Cold Water Flat」というバンドのドラマーによる小説デビュー作らしい。 死の床にある時計修理屋のじいさんが、てんかん持ちの父親とのかかわ…

二畳で豊かに住む

西和夫著、集英社新書 日本建築史を専攻する学者による、「究極の極小住居」についての考察。内田百輭や高村光太郎、夏目漱石ら住んだ「二畳程度」の住居を列挙している。例えば、漱石は、学生時代に後の満鉄総裁、中村是公と二畳(あるいは三畳)に下宿して…

プリンセス・トヨトミ

万城目学著、文春文庫 ここへの書き込みを1ヶ月していないということは、この1ヶ月で読み終わった本は、本書だけということになる。この間、何をしていたのか。日々のランニングが本格化して(4月は計170キロ走った)、通勤電車の中で寝てしまう時間が…

誰も知らない「名画の見方」

高階秀爾著、小学館101ビジュアル新書 「ビジュアル新書」と銘打っているだけあって、フェルメール(表紙を含め)やルノワール、ダヴィンチらの代表作のカラー図版をふんだんに掲載。大原美術館館長の著者が「時代の流れと向き合う」「『代表作』の舞台裏」…

海を越える日本文学

張競著、ちくまプリマー新書 著者は、上海生まれの中国人で、明治大教授らしい。専攻は比較文化論とのことで、帯に「なぜ村上春樹ばかりが注目されるのか」とある通り、海外での日本文学の「翻訳のされ方」を論じる。それも、おおざっぱに言って「欧米」と、…

日記をつける

荒川洋治著、岩波現代文庫 著者略歴によると、荒川氏は「現代詩作家」。自身も長いこと日記をついているという著者が、作家の日記を取り上げつつ、その効用などを語る。日記そのものは、取り上げる作家が若干マニアックなこともあり、さほど印象に残らないが…

鼓笛隊の襲来

三崎亜記著、集英社文庫 バスジャック - a follower of Mammonに続く、三崎氏の短編集。巻頭の表題作の始まりから 赤道上に、戦後最大規模の鼓笛隊が発生した。 鼓笛隊は、通常であれば偏西風の影響で東へと向きを変え、次第に勢力を弱めながらマーチングバ…

ホルモー六景

万城目学著、角川文庫 鴨川ホルモー - a follower of Mammonのスピンオフ的な短編集。「あのときはこういう裏話があった」というような本編の背景を説明した話を中心に6話。ホルモーをする4大学に、同志社が含まれていない理由が(それなりに)説明されて…

リディアードのランニング・バイブル

アーサー・リディアード著、大修館書店 本書には著者略歴が掲載されていないので、よくわからないが、リディアード氏は主に60年代に活躍したニュージーランド人のランニングコーチ。本書の原書は、そのノウハウや思想をまとめたもので、1983年に刊行されてい…

マラソンは毎日走っても完走できない

小出義雄著、角川SSC新書 「Qちゃん」こと高橋尚子らを育てた「小出監督」のマラソン本。書店で探すのに苦労した。09年11月に刊行されて、第7刷とあるから、かなり売れているようだ。 題名からは、「休みながら練習すべし」というような「楽して完走」的な…

中原の虹4

浅田次郎著、講談社文庫 「蒼穹の昴」第3部、「中原の虹」の最終巻。あの、袁世凱でさえも、死に際して善人として描かれ、いかにも浅田氏らしい。春雷と妹の再会の場面の泣かせ方もさすがである。 全編を通じて宋教仁を高く評価し、徐世昌に次のように語ら…

中原の虹3

浅田次郎著、講談社文庫 張作霖の権勢はいよいよ巨大となり、清朝は袁世凱への権限移譲という形で滅ぶ。また、亡命中の梁文秀のもとには若き蒋介石が現れ、歴史の胎動が感じられる。張作霖の活躍は、何となく来るべき「破滅」を予感させるものとなる。日本の…

中原の虹2

浅田次郎著、講談社文庫 張作霖がますます権勢を拡大するとともに、「蒼穹の昴」の主人公たち、李春雲や梁文秀らの活躍が描かれ、物語は勢いを増す。やがて西太后は死に、ついに清朝が倒れる。ここまでがおおむねこの2巻で語られる。 そんな中、脇役のキャ…

中原の虹1

浅田次郎著、講談社文庫 いよいよ「蒼穹の昴」第3部、「中原の虹」に手を付けた。「蒼穹」の主人公、春雲の兄・春雷がこちらでは主役。満州の馬賊(日本風に言えばヤクザのようなもののようだ)の頭領たる張サクリンの手下となって活躍する。「蒼穹」とのス…

ガンダムの常識 一年戦争篇

双葉V文庫 モビルスーツの性能から、登場人物たちの年齢まで、いわゆる「ファースト ガンダム」の世界の「設定」をまとめた。著者名は明記されず、巻末に「ライティング」として5人の名前が掲載されている。聞いたことがない人ばかりだが、マニアなのか、…

走ることについて語るときに僕の語ること

村上春樹著、文春文庫 マラソンランナーとしても知られる村上氏の走ることについてのエッセー集。走ることについての思いと、2005年から06年にかけてのトレーニングの模様などが日記のような形でつづられる。 30代前半で走り始め、トレーニングとし…