中原の虹4

浅田次郎著、講談社文庫
中原の虹 (4) (講談社文庫)
蒼穹の昴」第3部、「中原の虹」の最終巻。あの、袁世凱でさえも、死に際して善人として描かれ、いかにも浅田氏らしい。春雷と妹の再会の場面の泣かせ方もさすがである。
全編を通じて宋教仁を高く評価し、徐世昌に次のように語らせている。

君が育てた宋教仁は、何千年もの間ことの善し悪しにかかわらず、わが身の不幸を嘆くばかりだった国民に、没法子と言わせぬ勇気を与えて死んだのだ。不屈の正義をこの国に咲かせて死んだのだ。中華。この国の大地にやっと咲いた、中華の花だよ。

それにしては(早死にだったとはいえ)宋を描く場面が少なかったような気がする。例えば、日本で梁文秀に教わる場面などをもう少し描いてほしかった。

いずれにせよ、張作霖も(悲しい運命を示唆されるものの)まだ健在。その後は「マンチュリアン・レポート」で描かれるのだろう。