2012-03-01から1ヶ月間の記事一覧

運命の人 四

山崎豊子著、文春文庫 裁判で破れ、実家の事業でも失敗した弓成は家族と離れて沖縄へ行く。その沖縄での悲惨な戦争の証言の取材と、米国立公文書館で密約を裏付ける文書が見つかったこと等も受けての弓成自身の蘇生が描かれる。大半が沖縄の人々の「聞き語り…

運命の人 三

山崎豊子著、文春文庫 第3巻は裁判闘争を軸に描かれる。記者・弓成は1審で無罪判決を勝ち取るものの、2審で逆転有罪となり、最高裁で確定する。密約文書を持ち出した事務官・三木の方は1審で有罪判決を受け確定する。弓成の逆転有罪の決め手となったのが…

運命の人 二

山崎豊子著、文春文庫 物語は記者・弓成と元外務事務官・三木の逮捕から起訴、公判へと進む。その過程で弓成と三木の肉体関係がついに明らかになる。その描写はあっさりとしているものの、エロティック。そのために弓成の妻ら関係者は苦悩し、また、「言論の…

運命の人 一

山崎豊子著、文春文庫 沖縄返還をめぐるいわゆる「西山記者事件」を題材にした長編。文藝春秋連載中に少し読んでいたが、最後まで行けず、今回、NHKのドラマになったのを期に通しで読んでみることにした。 この第1巻では問題の文書漏洩から、発覚の端緒とな…

文士と姦通

川西政明著、集英社新書 文芸評論家の著者が、姦通(いわゆる不倫)した作家がたちを紹介し、その対応からそれぞれの人となりを炙り出す。 取り上げられているのは、北原白秋、芥川龍之介、谷崎潤一郎、宇野千代、島崎藤村らそうそうたる面々。日本的私小説…

語学で身を立てる

猪浦道夫著、集英社新書 7カ国後の講師などを務める著者が、外国語を職業とするための道を記した。職業自体は、翻訳家、通訳、語学講師など、巷間言われているようなものばかりだったが、各言語それぞれの職業の「市場の現状」のようなものも簡単に紹介され…