中原の虹2

浅田次郎著、講談社文庫
中原の虹 (2) (講談社文庫)
張作霖がますます権勢を拡大するとともに、「蒼穹の昴」の主人公たち、李春雲や梁文秀らの活躍が描かれ、物語は勢いを増す。やがて西太后は死に、ついに清朝が倒れる。ここまでがおおむねこの2巻で語られる。
そんな中、脇役のキャラクターづくりにも手を抜かずにほろりとさせる「浅田節」は全開となるが、日本人ジャーナリストの岡圭之介の天皇観が印象に残った。

「(略)天皇絶対主義は、キリスト教普遍主義の化身なんだ。天皇が改宗するわけにはいかないから、みずからが神となるほかはなかった。おかげで日本は、正義と良心を失ってしまった」

さて、おそらく3巻からは、日本および日本軍の暗躍が描かれるのだろう。