洋書

THE WATER-METHOD MAN

John Irving著、Ballantine books 1972年刊行とあるから、アーヴィングの比較的初期の作品だと思われる。尿道狭窄のおうな症状を持つ男が、人生を試行錯誤する、おなじみの成長譚。おそらくこの尿道狭窄と、その治癒が、男の人生の袋小路からの脱却(少なく…

Tinkers

PAUL HARDING著、WINDMILL刊 昨年のピューリッツァー賞受賞作ということで何気なく購入。ネットの情報によると、「Cold Water Flat」というバンドのドラマーによる小説デビュー作らしい。 死の床にある時計修理屋のじいさんが、てんかん持ちの父親とのかかわ…

Last Night in Twisted River

JOHN IRVING著、BALLANTINE BOOKS アービング12作目の小説。1954年のニューハンプシャー州から2005年のカナダのオンタリオ州まで続く、小説家の人生を描いた年代記。ニューハンプシャーの丸太流しの集落で、12歳の主人公は、誤って不良警官の「彼女」を殺し…

the five people you meet in heaven

Mitch Albom著、HYPERION刊 米コラムニスト、アルボムによる(恐らく初の)小説。tuesdays with Morrie - a follower of Mammonと同様、丸善のセールで購入。著者のことは何も知らず購入したが、いずれもいい作品だった。 アメリカの遊園地のメンテナンス工…

tuesdays with Morrie

Mitch Albom著、timewarner paperbacks 丸善の洋書フェアにて500円で購入。米国の(スポーツ)コラムニストが、ALS(筋萎縮性側索硬化症)に冒された大学時代の恩師との最後の日々を記した。文体は平易で、あっという間に読み終えた。 親しい人の死と向き…

A THOUSAND YEARS OF GOOD PRAYERS

Yiyun Li著、HARPER PERENNIAL 米国で暮らす中国人女性作家(どうやら不法滞在らしい)の短編集。最近、「千年の祈り」と題する翻訳本が出て評判がよかったため、購入した。 題材は、米国で暮らす中国人の思いだけでなく、北京や農村部など、現代中国の人々…

Twenty-One Stories

Graham Greene著、Penguin Classics グレアム・グリーンの短編集。文字通り21の物語が収められている。比較的難解な単語がけっこうあり、読み進めるのに苦労するところもあったが、話の流れといい、結末の鮮やかさや残す余韻といい、まさに「名ストーリー…

On Writing-A MEMOIR OF THE CRAFT

Stephen King著、POCKET BOOKS 現代の「スリラーの文豪」とも言えるスティーブン・キングの小説作法指南書。生い立ちから作家になるまでを記した自伝と、小説執筆に取り組む姿勢を中心とした指南の2部構成になっている。貧しい家庭に生まれて、肉体労働に従…

The FOURTH HAND

John Irving著、BlackSwan刊 丸善でワゴン売りをしていたのを偶然見つけ、購入。やはりジョン・アーヴィングの作品は読み進めるのが早い。 ライオンに食われて左手を失うテレビジャーナリストの話。いわゆるイケメンの女性遍歴が、例によって独特のデフォル…

1984

GEORGE ORWELL著、PENGUIN BOOKS刊 全体主義社会の恐怖を描いたジョージ・オーウェルの名作。アマゾンの商品紹介で見ると、いろんなバージョンがあるらしく、画像と実際に読んだペーパーバックは違うものになってしまった。 村上春樹氏の「1Q84」を読む…

THE END OF THE AFFAIR

Graham Greene著、PENGUIN CLASSICS 「情事の終わり」として知られる作品。男性作家と、公務員の妻の恋愛を巡る物語だが、その題名の通り、話の大半は関係が終わりを告げた後の出来事。 男が爆撃で死んだと思いこみ、神に祈ったことから、女は別れを決意する…

TRYING TO SAVE PIGGY SNEED

JOHN IRVING著、Ballantine Books ジョン・アーヴィングのメモワールや短編小説(彼は生涯で8編しか短編小説を書いていないらしい)、ディケンズの小説へのあとがきなどを集めた本。基本的に文字通りの長編ばかりを書いている印象のアーヴィングが、数こそ…

Clapton THE AUTOBIOGRAPHY

Eric Clapton著、Broadway Books刊 「ギターの神様」と呼ばれるエリック・クラプトンの自伝。最近邦訳され、ジョージ・ハリスンの妻だったパティ・ボイドとの「略奪愛」など赤裸々な告白が話題を呼んでいた。 確かに本の中身の大半は、女性遍歴や、麻薬、ア…

Never Let Me Go

Kazuo Ishiguro著、faber and faber 長崎出身の英国人作家、カズオ・イシグロの最新刊。ブッカー賞を受賞した「日の名残」とはうって変わって、人間のクローンがテーマ。臓器を「donate」するために作り出されたクローンの少年少女たちの成長物語になってい…

DEATH IN THE AFTERNOON

Ernest Hemingway著、VINTAGE CLASSICS かなり以前に購入してあったが、読まないままになっていた。アマゾンに掲載されている写真と表紙の絵が変わっている。きっと新版が出版されたのだろう。 スペインの闘牛について書いたノンフィクション。名作「日はま…

Cesar's Way

CESAR MILLAN著、THREE RIVERS PRESS ナショナルグラフィックチャンネルで「Dog Whisperer」という問題行動犬の対処方法を紹介する番組を持っている犬の心理学者(?)が、その生い立ちから犬とうまくつき合うための考え方をつづっている。一言で言ってしま…

And You Know You Should Be Glad

Bob Greene著、Harper刊 ボブ・グリーンの近刊で、がんのため57歳で亡くなった親友と過ごした最後の日々をつづったノンフィクション。親友を見舞う傍らで、思い返される少年時代から現在まで共に過ごした時間。このようなノスタルジーと、親友が自転車強盗が…

UNTIL I FIND YOU

John Irving著、BALLANTINE BOOKS ジョン・アーヴィングの自伝的要素が強いとされる作品。このニューヨークタイムズの記事While Excavating Past, John Irving Finds His Familyを読んだことがきっかけで購入。 父に捨てられた(と思っていた)男の、幼年時…

DOWNTOWN My Manhattan

Pete Hamill著、Back Bay Books ピート・ハミル氏が生まれ育ったマンハッタンについてのエッセイ。日々の雑観だけでなく、マンハッタン島への入植から始まる歴史を地域ごとに紹介している。ジャーナリストらしく、批判的な精神も示されているが、全編を通じ…

THE O.HENRY PRIZE STORYS 2006

ANCHOR BOOKS 北米の優れた短編小説に贈られる「O・ヘンリー賞」を受賞した20作品を集めた短編集。ある理由で必要性にかられて購入したものを通読してみた。 コンテンポラリーなアメリカ小説の現状を見るにはちょうどよい。古典的な男女の愛や現代家族のス…

Life Expectancy

Dean R. Koontz著、Bantam Books 訳書も含めて初めてのクーンツ氏の小説。以前、小説家の指南書(?)のような本だった「ベストセラー小説の書き方」(朝日文庫)を読み、「小説家はジャンル作家になるべきではない」という趣旨のことが書かれていたことが印象…

A PRAYER FOR OWEN MEANY

John Irving著、Ballantine Books 同世代の小説の名手を挙げるとすれば、和の浅田次郎、洋のジョン・アーヴィングを挙げる。デフォルメした人物たちによるストーリーテリング。メッセージ性。プロット。すべての面においてアーヴィング以上の書き手はいない…