すべての人生について

浅田次郎著、幻冬舎文庫
すべての人生について (幻冬舎文庫)
「饒舌な作家」を自認する浅田氏の対談集。小松左京陳舜臣北方謙三渡辺淳一宮部みゆきの各氏ら作家が中心だが、中には中村勘九郎(現勘三郎)や李登輝というのもあって興味深い。話題も、浅田氏の作品にちなみ、「中国」や「幕末」などに加え、東京論や方言論など幅広い。作家論ももちろん俎上にあり、山本一力氏との対談では、小説家になることを勧めた2人がほどなくして亡くなったことを紹介し

今でも二人のことは胸の片隅にあって、小説を書くことは返事をもらえない手紙を書いているような、そんな気持ちがどこかにありますね。

と語る。
ファンにはたまらない一冊。それにしても、おこがましいが、題名には工夫の余地があったように思う。