アイム・ファイン！

浅田次郎著、小学館文庫

つばさよつばさ - a follower of Mammonに続く、JALの機内誌のエッセーをまとめた単行本第２段。本作も、機内誌だけに「旅」にまつわる話を中心に、稀代のストーリーテラーとしての軽妙な語り口が遺憾なく発揮されている。中原の虹１ - a follower of Mammonを脱稿したころの作で、中国についての話が多い。また、ラスベガスへの直行便がなくなったことが繰り返し語られるところも浅田氏らしい。
どれもファンにはたまらない、浅田氏らしい作品ばかりで、特に印象に残った作品を選ぶのも難しい。強いてあげるとすれば、（旅とは直接関係ないものの）思いついた「すばらしい話」を追突事故に遭って忘れてしまったというもの。

　ついに私は「メモ」という習慣を身につけねばならぬのであろうか。たとえば五十五歳にして初めてパンツをはく気分である。