誰も知らない「名画の見方」

高階秀爾著、小学館101ビジュアル新書
Art 1 誰も知らない「名画の見方」 (小学館101ビジュアル新書)
「ビジュアル新書」と銘打っているだけあって、フェルメール(表紙を含め)やルノワールダヴィンチらの代表作のカラー図版をふんだんに掲載。大原美術館館長の著者が「時代の流れと向き合う」「『代表作』の舞台裏」などテーマに沿って3人ずつ西洋の画家を紹介していく。それが分量的にさらりと読めて、また適度の「へー」と思わせるもので、通勤電車の中で読むにはちょうどよかった。たとえは、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」の眼球に描かれた「白い点」が魅力の秘密だとして

そのことによって、瞳はたんに外光に反応する肉体の一器官としての「目」ではなく、内部に精神を宿した「まなざし」となる。そのとき画家は、自分が見た対象としてではなく、画家を見ている「人間」を描くことに成功したのである。

とする。まさにあの名画が、何となく身近な魅力を宿している理由が分かったような気がした。