Smart Brevity

Jim VandeHei、Mike Allen、RoySchwartz著、WORKMAN PUBLISHING

Smart Brevity: The Power of Saying More with Less (English Edition)

 kindleにて読了。簡潔さを売りとする独特の米ニュースサイト、

Axios - Breaking news, U.S. news and politics, and local news の創業者3人による、その手法を取り入れるためのハウツー本。もともとニュース記事の「長さ」が気になっていたところ、著者の1人、VandeHeiのTED Talk

Jim VandeHei: How to write less but say more | TED Talk

 を観て、Axiosを知り、著書にも興味を持った。

 副題に「The Power of Saying More with Less」とあるように、要点を伝えるためにメッセージを簡潔にすべきだと説く。読者を対象にした調査では、長い記事に最も価値があると答えたのは約5%だけだったとして、

The lesson: Listen to the customer and data, not the voice inside your head.

といわゆる「書き手発想」をやめて読者を常に意識すべきだとする。その手法も「見出しは強い言葉6語以下とせよ」「説明文はWHY IT MATTERS(なぜ重要か)などの言葉をつけて、箇条書きにする」など具体的である。紹介される応用例も、ニュース記事にとどまらず、メールやSNSに加え、プレゼンや会議、マネジメントに至るまで幅広い。そういう意味では、このブログのような文章の書き方も大幅に見直した方がいいのかもしれないと思った。

 Axiosのニュースルームの壁には、

"Brevity is confidence. Length is fear."

との言葉掲げられているという。「簡潔は自信の表れ。冗長は不安の表れ」といった意味だが、情報の氾濫が言われて久しい現代、人々の「注目」(つまり時間)はまさに奪い合いとなっている。その注目を勝ち取る方策としては、簡潔さというのは分かりやすいし、コミュニケーション手法としても、やや味気ない印象は否めないにせよ、個人的には共感もする。ただ、書籍としてはハウツーに偏り過ぎで物足りなかった。例えば、簡潔な文章は長い文章と比べてどのくらい読者を獲得出ているのかや、経営危機が言われて久しいメディア業界の救世主的な発想になり得るのか、つまりAxiosの経営状況はどうなっているのかといったデータを示してほしかった。