ルーヴルの名画はなぜこんなに面白いのか

井出洋一郎著、中経の文庫
ルーヴルの名画はなぜこんなに面白いのか (中経の文庫)
府中市美術館館長によるルーヴル美術館の作品紹介。名画および彫刻の数々をカラー写真付きで紹介。「これだけは観たい」と銘打った3時間コースと、「一日たっぷり鑑賞する」6時間コースに分けて紹介されているものの、実際はほぼ観覧順路に沿って作品が並び、読むとコースの違いはほとんど意識しない。
ルーヴルにはかれこれ20年近く前に行ったことがあるうえ、「美の巨人たち」でも紹介されるような名画揃いなので、何となく目にしたことがある作品が多い。紹介文も2〜3ページと簡潔で、コローの名作「モルトフォンテーヌの思い出」は

幾何学的な古典構図と光と大気の調和の美が、17世紀のロランの伝統を革新したコローの貢献をよく示しており、サロン展で見た皇帝ナポレオン3世がすぐに官費での購入を決めた理由もわかるでしょう。

と締めくくられている。若干物足りなさは残るものの、さらりとした語り口ですいすい読めた。