新書

文士と姦通

川西政明著、集英社新書 文芸評論家の著者が、姦通(いわゆる不倫)した作家がたちを紹介し、その対応からそれぞれの人となりを炙り出す。 取り上げられているのは、北原白秋、芥川龍之介、谷崎潤一郎、宇野千代、島崎藤村らそうそうたる面々。日本的私小説…

語学で身を立てる

猪浦道夫著、集英社新書 7カ国後の講師などを務める著者が、外国語を職業とするための道を記した。職業自体は、翻訳家、通訳、語学講師など、巷間言われているようなものばかりだったが、各言語それぞれの職業の「市場の現状」のようなものも簡単に紹介され…

小説家という職業

森博嗣著、集英社新書 作家の森博嗣氏が、小説家をあくまで「ビジネス」としてとらえ、いかにしてなり、続けているかをまとめている。大学に勤務していた37歳でデビューした森氏。小説をほとんど読まないというが、当初からシリーズものを企画し だから、最…

釣りはこんなにサイエンス

高木道郎著、サイエンス・アイ新書 フリーライターが、気象や地理から魚の生態まで、釣りを科学的に解説した。天気の変化など気象学などはかなり難解な部分もある。また、釣り人としては最も興味がある竿やリール、ハリなどタックルに関する解説はさらりとし…

鎌倉・横浜・湘南今昔歩く地図帖

井口悦男・生田誠著、学研ビジュアル新書 古い絵葉書などの写真や、古地図と、現在の写真・地図を対比させて、湘南や横浜の歴史をかいつまんで紹介している。地元の歴史を多少は知ろうと思い、地元の書店で購入した。 たとえば、娼妓の絵葉書とともに戯曲「…

腹が凹む!体脂肪が減る!40歳からのジム・トレーニング

井上健二著、ソフトバンク新書 「Tarzan」の編集などに携わっている「フィットネスエディター」がジムでのトレーニングを紹介した本。ただ、具体的なトレーニングのハウツーはほとんどなく、なぜトレーニングが必要か、などの理論面や三日坊主にならないため…

非常識マラソンメソッド―ヘビースモーカーの元キャバ嬢がたった9カ月で3時間13分!

岩本能史著、ソフトバンク新書 非常識マラソンマネジメント―レース直前24時間で30分速くなる! - a follower of Mammonの元になった本。全体的なランニングの取り組み方が書かれているが、「マネジメント」で詳説されていることもだいぶ触れられていた。なか…

非常識マラソンマネジメント―レース直前24時間で30分速くなる!

岩本能史著、ソフトバンク新書 100キロ超のウルトラマラソンに出場するランナーで、ランニングクラブを主宰する著者が、レース直前の過ごし方と、レース中の心得をまとめている。特に、レース当日の心得として、疲労防止のため、準備運動も含め、運動は極力…

フェルメール全点踏破の旅

朽木ゆり子著、集英社新書ヴィジュアル版 ジャーナリストが、フェルメールの作とされる作品37点全点の実物を鑑賞することを目指して世界中(といってもヨーロッパとアメリカだが)を旅するという趣向。実際には33点しか見ることはできないが、全点のカラ…

二畳で豊かに住む

西和夫著、集英社新書 日本建築史を専攻する学者による、「究極の極小住居」についての考察。内田百輭や高村光太郎、夏目漱石ら住んだ「二畳程度」の住居を列挙している。例えば、漱石は、学生時代に後の満鉄総裁、中村是公と二畳(あるいは三畳)に下宿して…

誰も知らない「名画の見方」

高階秀爾著、小学館101ビジュアル新書 「ビジュアル新書」と銘打っているだけあって、フェルメール(表紙を含め)やルノワール、ダヴィンチらの代表作のカラー図版をふんだんに掲載。大原美術館館長の著者が「時代の流れと向き合う」「『代表作』の舞台裏」…

海を越える日本文学

張競著、ちくまプリマー新書 著者は、上海生まれの中国人で、明治大教授らしい。専攻は比較文化論とのことで、帯に「なぜ村上春樹ばかりが注目されるのか」とある通り、海外での日本文学の「翻訳のされ方」を論じる。それも、おおざっぱに言って「欧米」と、…

マラソンは毎日走っても完走できない

小出義雄著、角川SSC新書 「Qちゃん」こと高橋尚子らを育てた「小出監督」のマラソン本。書店で探すのに苦労した。09年11月に刊行されて、第7刷とあるから、かなり売れているようだ。 題名からは、「休みながら練習すべし」というような「楽して完走」的な…

かのこちゃんとマドレーヌ夫人

万城目学著、ちくまプリマー新書 新書判の書き下ろし小説。小学1年生の女の子「かのこちゃん」と、外飼いの猫「マドレーヌ夫人」の日常を描いた物語。猫たちは人間の言葉をある程度解し、マドレーヌ夫人に至ってはかのこちゃんの飼い犬と結婚しているという…

芥川賞はなぜ村上春樹に与えられなかったか

市川真人著、幻冬舎新書 題名の通り、村上春樹がなぜ芥川賞を取らなかったか、を糸口に、日本文学(小説)の歴史を概観する。今「旬」の批評家らしく、語り口は軽妙。比較的知られている村上作品の「父性の不在」と、アメリカという日本にとっての「父」に結…

作家とは何か−小説道場・総論

森村誠一著、角川oneテーマ21 小説の書き方−小説道場・実践編 - a follower of Mammonの前編(こちらに「あとがき」があることを考えると、後編かもしれない)。タイトル通り「作家とは何か」についての論評で、他人に読まれることを意識せよ、といった精神…

小説の書き方−小説道場・実践編

森村誠一著、角川oneテーマ21 丸善でたまたま見つけて購入。昨年4月に初版発行とあるから、比較的新しい。「忠臣蔵」のストーリーを小説の「最高のお手本」としているのはなるほどと思うなど、この手の小説作法本の中では大いに参考になる部類だろう。むし…

翻訳夜話2 サリンジャー戦記

村上春樹、柴田元幸著、文春新書 村上氏と翻訳家・柴田氏の翻訳についての対話の続編。村上氏が翻訳した「キャッチャー・イン・ザ・ライ」の宣伝のための対談が中心となっている。そのためか、どちらかと言えば、作品そのものについての考察(ホールデンはサ…

翻訳夜話

村上春樹、柴田元幸著、文春新書 村上氏と、翻訳家で東大助教授の柴田氏のパネルディスカッションのようなセッションをまとめた。東大での授業、翻訳学校、若手翻訳家とのミーティングの3回に分かれている。いずれも90年代後半に行われた話で、本書の初版…

大作家“ろくでなし”列伝

福田和也著、ワニブックス刊 和洋の作家24人の作品と、その破天荒な生き様を紹介する。作家は三島由紀夫や川端康成、ヘミングウェイら主立った「大作家」を網羅している。エピソードも比較的一般に知られていることが多く、新たな発見というものは少なかっ…

誰も知らなかった賢い国カナダ

櫻田大造著、講談社+α新書 カナダ地域研究を専門とする関西学院大教授が、米国の影に隠れがちなカナダの政治などを紹介した本。経済では日本以上に米国依存ながら、イラク戦争には賛成しないなど、独自の風土を持つ「豊かな大国」として紹介している。政党…

月曜日は最悪だとみんなは言うけれど

村上春樹編訳、中央公論新社 「村上春樹翻訳ライブラリー」の一冊。村上氏が好きな作家、レイモンド・カーヴァーやティム・オブライエン、トム・ジョーンズらの短編や、彼らについての雑誌記事などの翻訳を集めたもの。基本的には中央公論の連載だったらしい…

生物と無生物のあいだ

福岡伸一著、講談社現代新書 著者は「分子生物学者」。細胞やら遺伝子やらを研究している人らしい。特別、この分野に興味があったわけではないが、ベストセラーになっているようなので、買ってみた。 いわゆる「研究者」と呼ばれる人たちの生活が紹介されて…

アレルギーはなぜ起こるか

斎藤博久著、講談社 息子がアトピー性皮膚炎で、私自身にとっても花粉症の発症を控えた嫌な季節になってきたので、アレルギーについて一回勉強しておこうと思って購入。アレルギー体質の保有者が関東地区の20歳代で70〜80%に達している、との記述もあり驚い…

「カラマーゾフの兄弟」続編を空想する

亀山郁夫著、光文社新書 大ヒットしている「古典新訳シリーズ」の「カラマーゾフ」の翻訳者が著した「第二の小説」想像本。著者が事実上のあとがきの題名としている「余熱の書」とうのが、著者のみならず、私のようにこの本を読む多くの読者にとってもしっく…

キャラ化するニッポン

相原博之著、講談社現代新書 裏表紙によると、著者の相原氏はバンダイのキャラクター研究所なるものの元所長のようだ。私はこの相原氏を全く知らず、本書を読み進めていくうちに、細部へのこだわりと、「キャラ」というものに必ずしも否定的でないことから、…

いつまでもデブと思うなよ

岡田斗司夫著、新潮新書 ついに読んだ。様々な本の売り上げチャートでのきなみ1位を記録している。ダイエットに対する関心の高さに加え「1年で50キロの減量に成功!」という揺るぎない事実がバカ売れの原動力だろう。私は「オタク研究家」とされる岡田氏…

評伝シャア・アズナブル《赤い彗星》の軌跡(上・下)

皆川ゆか著、講談社 ここのところ、少年時代の「ガンダム熱」が再燃している。3歳になる息子が「戦闘モノ」が好きなため、親父も楽しめるものを見せようとしことがきっかけ。リアルタイムではいわゆる「ファースト」しか観たことがなかった(厳密に言うとフ…

モナ・リザの罠

西岡文彦著、講談社現代新書 帯に「ダ・ヴィンチの『仕掛け』を知的に読み解く」とあるように、様々言われている名画「モナ・リザ」の解説本。題名に「罠」とあるのは、この絵が持つ独特の雰囲気や評論などから、グロテスクなイメージを持ちやすいことを指し…

清宮克幸・春口廣対論 指導力

松瀬学著、光文社新書 昨年まで早稲田大ラグビー部監督を務めた清宮克幸氏と、9年連続で大学選手権決勝に進出している関東学院ラグビー部監督の春口廣氏の対談。大学ラグビー界(清宮氏はトップリーグ・サントリーの監督になっているが)の指導者としてはト…