2008-12-01から1ヶ月間の記事一覧

奔馬

三島由紀夫著、新潮文庫 豊饒の海(二)。松枝清顕の生まれ変わりである右翼青年、飯沼勲がテロを計画し、挫折しながらも、最後に「思い」を遂げる物語。20歳の若者の「きらめき」や、彼が思いを寄せる槙子の「本性」の描かれ方はすさまじいとさえ言える。…

春の雪

三島由紀夫著、新潮文庫 三島由紀夫の遺作である「豊饒の海」4部作の(一)。最近映画化され、再び話題となっている。 残念ながらこれまで三島文学とはあまり縁がなかったが、圧巻の一言。全編に渡って「美しい」日本語が散りばめられている。例えば、貴族…

風の歌を聴け

村上春樹著、講談社文庫 村上春樹氏のデビュー作。村上氏の小説を読むのは「海辺のカフカ」以来になる。これが「シュール」と言われるものだと言われればそれまでだが、どうも好きになれなかった。しかし、今やノーベル文学賞候補の常連と言われ、現代日本の…

お腹召しませ

浅田次郎著、中公文庫 「五郎治殿御始末」に続く浅田次郎氏の幕末短編集。「中央公論文芸賞」や「司馬遼太郎賞」の受賞作とのこと。評価が高かったようだ。 霧笛荘夜話 - a follower of Mammonをはじめ、浅田氏の連作的な短編集は、その「狂言回し」ぶりが鮮…

月曜日は最悪だとみんなは言うけれど

村上春樹編訳、中央公論新社 「村上春樹翻訳ライブラリー」の一冊。村上氏が好きな作家、レイモンド・カーヴァーやティム・オブライエン、トム・ジョーンズらの短編や、彼らについての雑誌記事などの翻訳を集めたもの。基本的には中央公論の連載だったらしい…