リディアードのランニング・バイブル

アーサー・リディアード著、大修館書店
リディアードのランニング・バイブル
本書には著者略歴が掲載されていないので、よくわからないが、リディアード氏は主に60年代に活躍したニュージーランド人のランニングコーチ。本書の原書は、そのノウハウや思想をまとめたもので、1983年に刊行されている。それから30年近く経っているが、その筋の人たちにはいまだに読まれ、まさに「バイブル」の域に達している。
題名に「ランニング」とあるように、必ずしもマラソンに焦点を当てたものではなく、むしろ、リディアード氏の指導経験が豊富とみられる1500メートル〜10000メートルのトラック競技に重点が置かれている。ただ、坂道を利用したヒルレーニングなどは現在のマラソン教本でも重視されている。
また、中・長距離ランナーに対するインターバルなどの無酸素トレーニングのやりすぎに警鐘を鳴らしているのも大きな特徴で

まず選手は、なぜそのトレーニングをするのか、自分の取り組もうとするトレーニングの成果を理解しなければならない。そしていつでも自分の行っているトレーニングの成果を正しく評価し、トレーニングのバランスをとるようにしていかなければ、成功のチャンスは逃げていってしまう。

と繰り返し説かれているのが印象的だった。どこか、ニュージーランドで盛んなラグビーの指導方針と似ているような気がした。