2012-01-01から1年間の記事一覧

ま、いっか。

浅田次郎著、集英社文庫 どうしたことか、3月以来約8カ月ぶりの読書となってしまった。この間、仕事が変わったりして多少落ち着かなかったのは事実だが、ここまで読書から離れるとは。なんとも寂しい。 本書は浅田氏のエッセー集。主に雑誌連載をまとめた…

運命の人 四

山崎豊子著、文春文庫 裁判で破れ、実家の事業でも失敗した弓成は家族と離れて沖縄へ行く。その沖縄での悲惨な戦争の証言の取材と、米国立公文書館で密約を裏付ける文書が見つかったこと等も受けての弓成自身の蘇生が描かれる。大半が沖縄の人々の「聞き語り…

運命の人 三

山崎豊子著、文春文庫 第3巻は裁判闘争を軸に描かれる。記者・弓成は1審で無罪判決を勝ち取るものの、2審で逆転有罪となり、最高裁で確定する。密約文書を持ち出した事務官・三木の方は1審で有罪判決を受け確定する。弓成の逆転有罪の決め手となったのが…

運命の人 二

山崎豊子著、文春文庫 物語は記者・弓成と元外務事務官・三木の逮捕から起訴、公判へと進む。その過程で弓成と三木の肉体関係がついに明らかになる。その描写はあっさりとしているものの、エロティック。そのために弓成の妻ら関係者は苦悩し、また、「言論の…

運命の人 一

山崎豊子著、文春文庫 沖縄返還をめぐるいわゆる「西山記者事件」を題材にした長編。文藝春秋連載中に少し読んでいたが、最後まで行けず、今回、NHKのドラマになったのを期に通しで読んでみることにした。 この第1巻では問題の文書漏洩から、発覚の端緒とな…

文士と姦通

川西政明著、集英社新書 文芸評論家の著者が、姦通(いわゆる不倫)した作家がたちを紹介し、その対応からそれぞれの人となりを炙り出す。 取り上げられているのは、北原白秋、芥川龍之介、谷崎潤一郎、宇野千代、島崎藤村らそうそうたる面々。日本的私小説…

語学で身を立てる

猪浦道夫著、集英社新書 7カ国後の講師などを務める著者が、外国語を職業とするための道を記した。職業自体は、翻訳家、通訳、語学講師など、巷間言われているようなものばかりだったが、各言語それぞれの職業の「市場の現状」のようなものも簡単に紹介され…

小説家という職業

森博嗣著、集英社新書 作家の森博嗣氏が、小説家をあくまで「ビジネス」としてとらえ、いかにしてなり、続けているかをまとめている。大学に勤務していた37歳でデビューした森氏。小説をほとんど読まないというが、当初からシリーズものを企画し だから、最…

新選組物語

子母澤寛著、中公文庫 子母澤の「新選組三部作」の最後を飾る。題名に「物語」とあるように、資料や聞書が主だった過去2作と比べ、いわゆる「小説」の体裁をとっている文章ばかりで、格段に読み易い。浅田次郎著「壬生義士伝」の主人公、吉村貫一郎の話もこ…

新選組遺聞

子母沢寛著、中公文庫 子母澤新選組三部作の第二作。新選組始末記 - a follower of Mammonに入りきらなかった話をまとめたようだが、エピソード自体はダブリもかなり多い。漢文体の手紙や日記、浪士が詠んだ和歌の類が多数収録されていて、本格的な研究書に…

THE WATER-METHOD MAN

John Irving著、Ballantine books 1972年刊行とあるから、アーヴィングの比較的初期の作品だと思われる。尿道狭窄のおうな症状を持つ男が、人生を試行錯誤する、おなじみの成長譚。おそらくこの尿道狭窄と、その治癒が、男の人生の袋小路からの脱却(少なく…

新選組始末記

子母澤寛著、中公文庫 「新選組研究の古典」として定評のある作品。東京日日新聞の記者をしていた子母澤が昭和3年に出版したもの。新選組の誕生から勇の処刑までを、年代を追いつつ、事件やエピソードを手頃な長さの文章で紹介していく。なるほど別の人の作…

謎解きはディナーのあとで

東川篤哉著、小学館 昨年の本屋大賞を受賞したミステリー連作短編集。大金持ちの令嬢で警視庁国立署刑事が担当する事件を、若きイケメン執事(?)の推理で解決していく。状況を説明した令嬢に 「ひょっとしてお嬢様の目は節穴でございますか?」 などと「暴…

釣りはこんなにサイエンス

高木道郎著、サイエンス・アイ新書 フリーライターが、気象や地理から魚の生態まで、釣りを科学的に解説した。天気の変化など気象学などはかなり難解な部分もある。また、釣り人としては最も興味がある竿やリール、ハリなどタックルに関する解説はさらりとし…