かのこちゃんとマドレーヌ夫人

万城目学著、ちくまプリマー新書
かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (ちくまプリマー新書)
新書判の書き下ろし小説。小学1年生の女の子「かのこちゃん」と、外飼いの猫「マドレーヌ夫人」の日常を描いた物語。猫たちは人間の言葉をある程度解し、マドレーヌ夫人に至ってはかのこちゃんの飼い犬と結婚しているという奇抜な設定となっている。ほのぼのとしたストーリー展開で、正直言って少々物足りなかったが、かのこちゃんの父が、「鹿男」のその後の姿だ分かるようなエピソードがちらほら出てきて、ファンにはうれしい。例えばなぜ「かのこ」という名前を付けたかについての父と娘の会話は、次のようなものだ。

「じゃあ−−お父さんは鹿に『かのこにしなさい』って言われたってこと?」
「そうだよ。久々に会ったとき、『今度、子どもが生まれる。女の子なんだ』って話したら、この名前がいい、って」