キャラ化するニッポン

相原博之著、講談社現代新書
キャラ化するニッポン (講談社現代新書)

裏表紙によると、著者の相原氏はバンダイのキャラクター研究所なるものの元所長のようだ。私はこの相原氏を全く知らず、本書を読み進めていくうちに、細部へのこだわりと、「キャラ」というものに必ずしも否定的でないことから、「オタク」を連想したが、必ずしもそうではないのかもしれない。
友達同士を「○○キャラ」などと呼び合い、それを受け入れる現象を「キャラ化」と呼んでいる。その背景になっているとみられる例をひたすら挙げていき、結論は「さらにキャラ化が進むだろう」みたいなもの。この構成の方法もオタクを連想させた。本書でも指摘されていたが、オタクというのは自分の興味があるモノの細部にはめっぽう強いが、全体像というかグランド・デザインのようなものを描く力は弱いと感じるからである。

キャラがない=居場所がない

などの指摘やネット社会とのかかわりなどはもっともだと思うが、新しい発想ではない。また、ここで言うキャラの設定というのは、要するにラベリングのようなものであって、必ずしもアニメや漫画の影響とは思えないし、そもそも「彼は○○だから」みたいな言い方は昔からある。私はむしろこの「○○キャラ」について、単純に「○○的」のような、若者が好む「断定を避けて和らげる表現」の一種と考えている。
少なくとも「カラマーゾフの兄弟」の直後に読むべき本ではなかった。