評伝シャア・アズナブル《赤い彗星》の軌跡(上・下)

皆川ゆか著、講談社
評伝シャア・アズナブル 《赤い彗星》の軌跡 上巻 (KCピ-ス)

ここのところ、少年時代の「ガンダム熱」が再燃している。3歳になる息子が「戦闘モノ」が好きなため、親父も楽しめるものを見せようとしことがきっかけ。リアルタイムではいわゆる「ファースト」しか観たことがなかった(厳密に言うとファーストも再放送で観た)。「ゼータ」以降はすでにスポーツに目覚め、アニメは「卒業」していた。ただ、社会人になってプレステ2を買ってからはガンダムのゲームをやったことで「プチ再燃」し、劇場版の「ファースト」3部作のDVDを購入したりしていた。
今回は劇場版「ゼータ」3部作のDVDにとどまらず、「逆襲のシャア」も購入、アムロとシャアの物語を遅ればせながら制覇。息子よりも熱心に鑑賞した。そんななか、出会ったのが本作である。
シャアの活躍を時系列的に追いながら、人物を分析する。単なる「紹介もの」と思われがちだが、分析は重層的ではないものの、なかなか本格的。特に「情」と「理」で登場人物の志向を整理した下巻の後半は読み応えがあった。
改めてガンダムがよく構想された物語だったことを認識できる。ただ、SFモノの難点とも言えるが、カネの出所が説明できていない。あれだけの兵器を開発しているのだから、莫大な予算がかかったことは想像に難くない。特に「反地球連邦組織」たるエゥーゴは台所事情が厳しかったとみられる。そういう部分をもう少し説明できるくだりがあると、より引き込まれたのではないかと思う。
「評伝アムロ・レイ」は出ないのでしょうか。それもぜひ読みたいです。