小説の書き方−小説道場・実践編

森村誠一著、角川oneテーマ21
小説の書き方  小説道場・実践編 (角川oneテーマ21)
丸善でたまたま見つけて購入。昨年4月に初版発行とあるから、比較的新しい。「忠臣蔵」のストーリーを小説の「最高のお手本」としているのはなるほどと思うなど、この手の小説作法本の中では大いに参考になる部類だろう。むしろ問題は、こういう本に書いていること(こういう本に限らずだが)を覚えていられないために、実地に反映されないという私のような読者の方にあるように思う(当たり前だが)。
また「人間の証明」の森村氏なのだから、もうかなりの年のはずだが、新しい本も意欲的に読み、かつ評価していることが印象に残った。例えば三崎亜記氏の「となり町戦争」の冒頭で紹介される広報文について

本来なら、他のDMと一緒にとラッシュボックスに投げ込まれてしまうような一片の広報の文章が、読者を完全にとらえて、奇想天外でありながら、恐ろしくリアリティのある作品世界へと導入してしまう。

としている。