2012-03-04 文士と姦通 新書 川西政明著、集英社新書 文芸評論家の著者が、姦通(いわゆる不倫)した作家がたちを紹介し、その対応からそれぞれの人となりを炙り出す。 取り上げられているのは、北原白秋、芥川龍之介、谷崎潤一郎、宇野千代、島崎藤村らそうそうたる面々。日本的私小説作家らしく、それぞれ「姦通体験」を作品に反映していることが多く、記述がなまなましい。 例えば、茶屋の女と関係があった志賀直哉は 女には彼の妻では疾(とう)の昔に失はれた新鮮な果実の味があつた。(中略)北国の海で捕れる蟹の鋏の中の肉があった。 と表現している。