TRYING TO SAVE PIGGY SNEED

JOHN IRVING著、Ballantine Books
Trying to Save Piggy Sneed
ジョン・アーヴィングのメモワールや短編小説(彼は生涯で8編しか短編小説を書いていないらしい)、ディケンズの小説へのあとがきなどを集めた本。基本的に文字通りの長編ばかりを書いている印象のアーヴィングが、数こそ少ないものの、味わい深い短編(私のお気に入りは「ホテル・ニューハンプシャー」の下書きになったと思われる「THE PENSION GRILLPARZER」である)を残していることが嬉しかった。ただ、やはりファンとしては、小説家の「とは論」になっている少年時代の回顧録である表題作や、レスリングを中心に生涯を振り返る「THE IMAGINARY GIRLFRIEND」が興味深い。背表紙によると、米紙「USA Today」は本書について

Readers will leave this book feeling as if they have had a terrific conversation with Irving about why he writes and how he goes about it.

と紹介している。多少陳腐ではあるが、そんな「満足感」が得られたことは確かだ。特に表題作は、この作家の(あるいはこの作家が描こうとしている)良心とファンタジーの背景を垣間見させてくれた。