A PRAYER FOR OWEN MEANY

John Irving著、Ballantine Books
A Prayer for Owen Meany

同世代の小説の名手を挙げるとすれば、和の浅田次郎、洋のジョン・アーヴィングを挙げる。デフォルメした人物たちによるストーリーテリング。メッセージ性。プロット。すべての面においてアーヴィング以上の書き手はいないと思っている。
どのようなきっかけで読むようになったかは覚えていないが、最初は「ホテル・ニューハンプシャー」だった。その後、主要な訳書は読んだ。「サイダーハウスルール」と「熊を放つ」(村上春樹氏の訳書)を特に気に入っていた。本作を購入したのは、まだ訳書がなかったからである。原書で読んだ初めてのアーヴィング作品となった。
苦労して辞書を引き引き読んだからかもしれないが、これはアーヴィング作品の中でも最高傑作ではないかと思っている。体が小さく、声変わりもしないオーウェン・ミーニー。そのすべてに「理由」があった。キリスト教の「祈り」がテーマになっているだけに、多少説教臭くはあるものの、それを補って余りある出来映えであった。特に伏線を生かしたラストのまとめ方の鮮やかさは圧巻である。
こういう作品があるからこそ、面倒をいとわずに洋書を読むべきなのだと思う。この作品も最近、訳書が出版されたようだが。