DEATH IN THE AFTERNOON

Ernest Hemingway著、VINTAGE CLASSICS
Death In The Afternoon (Vintage Classics)
かなり以前に購入してあったが、読まないままになっていた。アマゾンに掲載されている写真と表紙の絵が変わっている。きっと新版が出版されたのだろう。
スペインの闘牛について書いたノンフィクション。名作「日はまた昇る」や、「敗れざる者」などの短編の題材となった闘牛に寄せるヘミングウェイの思いが余すところなく書き込まれている。ただ、当時(1920年代から30年代初頭)の闘牛士についての論評や、闘牛の技術の解説が延々と続く部分も多く、読み物としては若干、難がある。著者にとってもその辺は気がかりだったらしく、章の末尾に「Old lady」なる人物を登場させて「Author」と掛け合いをさせ、ダイアローグを演出している。
冒頭、ヘミングウェイの短編集に収められた印象的なスケッチ「スミルナ埠頭にて」について語られる。スケッチは、ギリシャ人がスミルナから撤退する際、荷役馬の足を折って浅瀬に放り込んだ場面を描いたものだが、この印象があったために、当時のヘミングウェイは、ピカドールが乗った馬がしばしば牛に殺される闘牛が好きになれない、と言ったという。そして次のように続く。

I was trying to write then and I found the greatest difficulty, aside from knowing truly what you really felt, rather than what you were supposed to feel, and had been taught to feel, was to put down what really happened in action; what the actual things were which produced the emotion that you experienced.

ヘミングウェイの執筆思想が表れる場面が随所に見られるのが最大の魅力であった。