Life Expectancy

Dean R. Koontz著、Bantam Books
Life Expectancy

訳書も含めて初めてのクーンツ氏の小説。以前、小説家の指南書(?)のような本だった「ベストセラー小説の書き方」(朝日文庫)を読み、「小説家はジャンル作家になるべきではない」という趣旨のことが書かれていたことが印象に残っていた。どんな作品を書くのか気になったので、洋書で一冊読むことにした。この作品を選んだ経緯は残念ながら忘れてしまった。
生まれた日に死去した祖父に、人生で「ひどいことが起こる5日間」を予言されたパン屋の息子の物語。バラバラにやってくるこの5日間をどう過ごしたか語られるのだが、語り口は軽妙でいて、恐怖を催す。5日というのはやや多すぎた感もあったが、全体で476ページが70章に区切られ、テンポ良く読み進めることができる。アメリカでは相当なベストセラー作家のようだが、確かにコメディーと恐怖と家族愛といったいかにもアメリカ人好みの要素が詰まっている。日本人的な感覚からすると、それ自体が一つのジャンルなのではないかという気もするが、いい意味でも、悪い意味でも「軽い」作品ではあった。