新選組始末記

子母澤寛著、中公文庫
新選組始末記―新選組三部作 (中公文庫)
新選組研究の古典」として定評のある作品。東京日日新聞の記者をしていた子母澤が昭和3年に出版したもの。新選組の誕生から勇の処刑までを、年代を追いつつ、事件やエピソードを手頃な長さの文章で紹介していく。なるほど別の人の作品で読んだことがある話がいくつも見られた。
中でも出色なのは、勇と関係があった元太夫が偶然汽車で会った勇の研究者に語ったという話。あちこちの芸者と関係していたというのもすごいが、坂本龍馬中岡慎太郎暗殺にまつわる話として

お両人が殺されてから、二三日たって、妾のところへいらして「佐々木只三郎等が坂本をやっつけたので、愉快に酒が飲める」といって、佐々木さんを呼びにやり、大一座で酒宴を開きました。

とある。真偽のほどはともかくとして、時代の証言はやはり生々しく、面白い。
三部作を読み進めるつもりである。