2010-01-01から1年間の記事一覧

レディ・ジョーカー(中)

高村薫著、新潮文庫 事件は、3回にわたる偽の現金授受劇など、展開し続ける。合田は、日之出ビール社長・城山のボディ・ガード兼捜査本部のスパイとなって、合田らしい活躍をする。ただ、物語の上ではあくまでも(中)であって、多くの論評はできない。 印…

The FOURTH HAND

John Irving著、BlackSwan刊 丸善でワゴン売りをしていたのを偶然見つけ、購入。やはりジョン・アーヴィングの作品は読み進めるのが早い。 ライオンに食われて左手を失うテレビジャーナリストの話。いわゆるイケメンの女性遍歴が、例によって独特のデフォル…

レディ・ジョーカー(上)

高村薫著、新潮文庫 帯にあるように「伝説の長篇、ついに改稿文庫化!」である。高村氏は単行本を(じっくり)改稿してから文庫化する作家として知られる。経済的な理由もあって、小説は原則的に文庫でしか読まない身としては、いささかつらい。本作は警視庁…

亡国のイージス(下)

福井晴敏著、講談社文庫 イージス艦の反乱がめまぐるしく描かれる。前置きが長かった分、その後の展開はスピーディー。私は普段の読書の際、印象に残った描写があるページを折ることにしているが、それをほとんど忘れるくらいだった。全559ページの下巻で…

亡国のイージス(上)

福井晴敏著、講談社文庫 別に「ガンダムUC」を読んだからという訳ではないが、福井氏の代表作は、以前から読みたいと思っていたところ、ブックオフで発見、購入した。 海上自衛隊のイージス艦が「反乱」を起こすという想定は、「沈黙の艦隊」を思い起こさ…

1984

GEORGE ORWELL著、PENGUIN BOOKS刊 全体主義社会の恐怖を描いたジョージ・オーウェルの名作。アマゾンの商品紹介で見ると、いろんなバージョンがあるらしく、画像と実際に読んだペーパーバックは違うものになってしまった。 村上春樹氏の「1Q84」を読む…

やがて哀しき外国語

村上春樹著、講談社文庫 村上春樹氏がプリンストン大学で講師をしていた頃に書いたエッセー集。主にアメリカ文化(プリンストンの文化)について論じている。また、村上氏が作家になる前、ジャズバーを経営していた話が繰り返し語られるなど、きょうびのファ…

ごろつき船(下)

大佛次郎著、小学館文庫 帯に「息もつかせぬ展開!」とあるように、物語はめまぐるしく展開する。江戸から海上だけでなく、シベリアを経て舞台は福山に戻っていく。そしてラストはなんと安南(ベトナム)。福山に主要登場人物が全員再集結する下りは、強引と…

ごろつき船(上)

大仏次郎著、小学館文庫 書評家・北上次郎氏の「昭和エンターテインメント叢書」。「鞍馬天狗」で知られる大仏だけに、昭和を代表する「エンターテイメント作家」と言っていいだろう。 帯に「波瀾万丈の大ロマン」とあるように、物語は北海道から始まり、東…

機動戦士ガンダムUC 2 ユニコーンの日(下)

福井晴敏著、角川書店 さて、「ガンダム・ユニコーン」の続きである。スペースコロニーでモビルスーツ戦が始まり、やっとガンダムらしくなる。そして最後にやっと、主人公が「ユニコーン」にたどりつく。ガンダムの世界を踏襲していると言えばそれまでだが、…

失われた町

三崎亜記著、集英社文庫 三崎氏の3作目。町単位で人々が突然姿を消す「消滅」という現象をめぐる物語。主にそれをくい止めようとする人たちを描く。一応は我々と同じ世界が描かれていた「となり町戦争」よりも、設定は突飛。そのぶん取っつきにくく、最後ま…

機動戦士ガンダムUC1 ユニコーンの日(上)

福井晴敏著、角川書店 だいぶ前に上下巻を購入したまま、未読になっていたが、最近どうも洋書を読むのに疲れて手に取った。 「亡国のイージス」などで知られる福井氏のガンダムものである。福井氏の作品を読むのは初めてだったが、思っていたよりも汗くさく…

世界の経済が一目でわかる地図帳

ライフサイエンス著、三笠書房 読む本がなくてぶらぶらしていたところ、丸善で平積みになっていたので、買ってみた。「ライフサイエンス」は 幅広いネットワークを生かして、国内外を問わずあらゆる情報を収集し、独自の切り口で書籍を制作する企画編集組織…

月島慕情

浅田次郎著、文春文庫 市井の人々の生活を描いた「人情もの」の短編集。大正時代の吉原についての表題作あたりは、多少型にはまった感がなくもないが、名手の作品らしく、やはり圧巻だった。巻末に作者自らがそれぞれの創作秘話を語る「自作解説」が収録され…