最少の努力でやせる食事の科学

オーガスト・ハーゲスハイマー著、講談社

最少の努力でやせる食事の科学 (講談社の実用BOOK)

 hontoにて読了。安売りしていたので、購入して読んでみた。糖質制限で昨年、15キロ近くやせたものの、最近5キロ近くリバウンドしているのを何とかしたかったというのもある。

 著者は栄養科学博士で健康食品を開発・販売している会社を経営しているらしく、この界隈ではよくいるタイプである。父はアメリカ人、母は日本人で、福島生まれ、アメリカ育ちというやや異色の経歴である。表紙に著者の写真が大写しになっているだけに、著者の「イケメン」ぶりで売ろうしている魂胆が見えて、さほど期待していなかった。hontoで安売りしていなければ買わなかったであろう。

 題名の通り、いかにダイエットのための努力が無駄かを説く。例えば、糖質制限については

・糖質を制限するなら、良質の油を摂り、脳を満足させることが必要。

といった具合だ。

 基本的にはカロリー神話を否定し、糖質を制限する(ただし、完全にやめるわけではなく、毎食「こぶし1個分」制限することを推奨する)という今の栄養学に沿った内容である。人類の昔の食事(穀物ではなく生肉を食べていたことなど)を振り返って説明するなどThe Carnivore Code - a follower of Mammon  と論旨は似ている。ただし、肉食を勧めるわけではなく、むしろ葉物野菜を毎食摂ることを勧めている。また、なぜかケトン体については触れていない。

 著者の「語り掛け」形式の軽いタッチで、気軽に読める。実際、2日間の通勤で読み切ってしまった。食事のメニュー(葉物のサラダやエッグスムージーなど)やお勧めの筋トレの方法なども紹介されていて、実践的な本ではある。ただし、全体的にその説の根拠となるデータは不足し、題名にあるような「科学」を掘り下げたい向きにはやや物足りない内容ではないかと思った。