ぼくは翻訳についてこう考えています

柴田元幸著、アルク

ぼくは翻訳についてこう考えています -柴田元幸の意見100-

 hontoにて読了。セールでかなり安くなっていた。柴田氏は、翻訳をめぐる村上春樹氏とのコラボレーションで知られる英文学者。これまでにも何冊か著作を読んできた。今回は安さと題名にひかれて購入した。

 氏がこれまでに著作などで語ってきたことを項目ごとにまとめている。内容は「beginは『始める』か」など翻訳の方法論にとどまらず、村上春樹の翻訳の特徴や和製英語についての意見などけっこう多岐にわたる。一部にはこの本のための補足的な「ひとこと」のようなものも添えられており、抵抗なく読み進められるようになっている。実際、私にしては珍しいことに、1日で読み終えてしまった。

 確かにためになる話は多かったが、それぞれが著作などのほんの一部なので、「ひとこと」が添えらえているとはいえ、全体的に物足りない。各テーマを掘り下げて知りたいなら出典元を読め、ということなのだろうが、クリックしても元記事に飛ばないまとめサイトのようなものでフラストレーションばかりが残った。そもそもそのような人間は、ほかの媒体のほんの一部を寄せ集めたような本を買ってはいけないのかもしれない。安売りでよかったと思えた。