The Carnivore Code

Paul Saladino著、Houghton Mifflin Harcourt

The Carnivore Code: Unlocking the Secrets to Optimal Health by Returning to Our Ancestral Diet (English Edition)

  kindleで読む。数年前から徐々に糖質制限ダイエットに取り組んでいる。何冊か関連する書籍を読み、ごはんやパン、麺類など炭水化物をカットして、Ketogenic(ケトン体質)になって脂肪を燃焼しやすくしようとしている。特にこの春から厳密に炭水化物を制限するようになってからは効果が目に見えて現れ、4月からの半年で10キロの減量に成功した。

 本書は米国の医者による、低糖質の「極北」とも言える肉食のススメ。このCARNIVORE DIET、米国では徐々に実践者が増えているらしい。体に重要な栄養素はタンパク質と脂肪だという主張も糖質制限を同じであるが、野菜を否定しているところが異質である。

 本書によれば、肉食は人類の祖先で続けてきた営為で、草食は狩りで肉が手に入らない時の代用品に過ぎなかった。進化の過程で、肉食中は脳の大きさが急拡大し、農耕生活に入ってからは拡大がほぼ止まっているという。

 最も驚かされたのは、「野菜はむしろ体に悪い」という主張。植物には「動物に食べられないようにするためのtoxin(毒素)が含まれ、それが自己免疫反応や炎症を引き起こす」ということを具体例を挙げて示す。さらには食物繊維も「体に悪い」とし、「肉類ほど栄養豊富なものはない」として、動脈硬化など肉食の悪影響についても否定していく。

 特に野菜や豆腐・納豆など豆類(種は植物にとって最も守らなければいけないものなので、toxinの宝庫だという)は健康的であると教えられて育った日本にとっては、なかなか驚きの内容。裏付けられる研究内容も列挙され、もっともらしい。事実だとすれば、考え方を改めなければいけないし、肉中心の食生活というのは魅力的でもあるが、著者本人も記す通り、反証も多いのだろう。

 ただ、私の糖質制限、ここ1カ月ほど体重の低下が止まっている。既に数十年の肥満を脱してはいるものの、ここを突き抜けるために肉食中心を試してみる誘惑にかられている。