コンビニ人間

村田沙耶香著、文春文庫

コンビニ人間 (文春文庫)

 図書館で借りる。文芸ピープル - a follower of Mammon でも英訳が話題になっているとのことだったので、読んでおこうと思った。芥川賞を受賞してしばらく経っており、予約したらすぐに借りることができた。

 事前にあまり詳しく知っていたわけではないが、予想通り(というか、事前の情報通り、と言えば当たり前だが)、コンビニの店員が染みついているというか、コンビニに同化している30代後半の女性アルバイトの話。芥川賞作品らしく、短いので2日で読み終えた。

 『文芸ピープル』でも、英語圏で売れている日本の女性作家の作品について、wierdな女性を主人公にしているものに偏りがちであることが指摘されていたが、確かにwierdな女性の話。何しろ、子供時代にけんかの仲裁で、合理的な判断としてスコップで男の子の頭を殴ったり、死んだ小鳥を焼き鳥にしようとしたりしている人の話なのだ。西洋人が日本人に抱く、ある種のエキゾチシズムというか、理解不能さにマッチしていたのかもしれない。ただ、コンビニの成り立ちの描写など、西洋人にとっては物珍しいのかもしれないが、天気や気温によって売れる商品が左右されることなど、今や日本人には常識と言えるような描写も多い。

 また、英語圏で売れているという先入観が効き過ぎたのか、例えば

「支払い、スイカで」

「かしこまりました。そちらにスイカのタッチをお願いします」 

といった日本人にとっては当たり前の描写を、英語ではどう訳しているのかが気になってしまった。