習慣超大全

BJ・フォッグ著、須川綾子訳 ダイアモンド社

習慣超大全――スタンフォード行動デザイン研究所の自分を変える方法

 kindleにて読了。グーグルニュースでよくある訳者による紹介文のような記事を読んで、興味を持った。やや逆説的だが、翻訳の勉強にもなるかと思い、あえて訳書を読んでみた。

 著者はスタンフォード大学の行動科学者なる人物。原題の「TINY HABITS」の通り、小さな習慣が大きな変化を生むと説く。そのキモとなるのは、「これをしたら」「これをする」という単純なきっかけで小さなこと(著者の場合は「歯を1本フロスする」や「腕立て伏せを2回する」など)という「レシピ」をつくって、習慣化させるというもの。さらに、アメリカ人らしく、できたら自分をほめる(祝福する)ことに重点を置く。曰く

 習慣をつくるのは反復ではない、頻度でもない、魔法でもない。感情なのだ。

 自分のために、もしくは他人のために習慣をデザインするということは、じつのところ感情をデザインすることにほかならない。 

という。

 小さなことからでいいというのは、とっつきやすい(そう感じたのが読んでみた理由でもある)感じがしたので、試しにいくつか自分のレシピをつくってみた。例えば、長らく立ち消えになっていた日記を復活させるために、朝、EVERNOTEで既にやっている食事の記録用のノートをつくったら、日記用のノートをつくる、というレシピをつくってみた。それだけだったが、ここ1週間ほど、ノートをつくるだけでなく、多少の書き込みもするようになった。祝福というのはなかなか難しいものの、書き込む内容をなるべく前向きなことにしている。

 他のレシピも今のところ順調に進んでいる。あとは、筋トレや禁煙(本書では習慣をやめる方法も紹介しされているが、新たな習慣で上書きするというもので、これはなかなかピンとこなかった)などについても少しずつ取り組んでいきたい。

 これが、本書で紹介されているような「大きな変化」を生むのかどうかは分からない。ただ、「タイニー・ハビット」によって、多少前向きな気分になれていることは確かなような気がする。本の中身以前に、それだけで収穫が得られたと思う。