ファウスト第二部

ゲーテ著、池内紀訳、集英社文庫
新訳決定版 ファウスト 第二部 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)

「難解」とされるこのファウスト第二部。確かに意味不明な個所も多く、読み進めるのに苦労した。
第一部が「恋」を巡る話だとすれば、第二部は主に「カネ」を巡る話。かつて、凶悪事件の動機のほとんどは「カネ」「女」「権力」のいずれか、あるいはこのうちの複数だという話が聞いたことがある。第二部は皇帝や権力についての物語にもなっていて、例えば

命令する者は、まさに命令のなかにこそ、深いよろこびを見つけなくてはならない。

ファウストにしゃべらせている。ある意味で人間の性とも言えるこの三要素をめぐる物語だったわけだが、この凶悪事件の動機の話もあるいはファウストのような物語が下敷きとしてあるのかもしれない。

いずれにしても、重い読書であった。次は何か軽いものを読むこととしよう。