四畳半神話大系

森見登美彦著、角川文庫
四畳半神話大系 (角川文庫)
森見氏の2作目の長篇。大仰なタイトルだが、夜は短し歩けよ乙女 - a follower of Mammonと同様、主人公は四畳半に住む(おそらく京大の)大学生で、うだつの上がらない大学生活を嘆く。新入生の時に勧誘ビラをもらった四つのサークルについて、それぞれを選んだ場合の物語が四つつづられている。パラレル(というか、直列の)物語が収められているわけで、そういう意味では「夜は…」よりも実験的と言える。また、「夜は…」に登場する「樋口師匠」や「羽貫さん」もより主要なキャラクターとして登場する。ただ、もちろん意図的にではあるが、四つの物語に同じ表現が使われていたりして、第四話までいくとさすがに食傷した。そういう意味では「夜は…」の方が作品としては好ましかった。