モチーフで読む美術史

宮下規久朗著、筑摩eブックス

モチーフで読む美術史 (ちくま文庫)

 hontoで読了。動物や食べ物、小物など、絵画に描き込まれたモチーフからその意味(すると思われるもの)を紹介していく。

 絵画、とりわけ西洋の絵画には関心がある方だと思っているので、興味を持って購入した。「犬」「豚」などモチーフごとに何枚かの絵画が紹介されている。それなりに面白いのだが、各章が短すぎる気がしていたところ、新聞連載をまとめたものだったことを知る。紙幅の都合があったのだろうが、やや残念である。また、電子書籍には向かない書籍だったのかもしれない。取り上げられた絵画が各章の末尾にまとめて載っているのだが、できれば文章を読みながら絵も見たい。この点、めくったり、元の場所に戻ったりが簡単な紙の本の方が向いている気がした。

 そういう意味では、いささか単調に進んだ読書だったが、著者のあとがきを読んで、本書の執筆中に大学卒業を控えた著者の娘さんが病死していたことを知る。そのことが最大の余韻を残した。