誕生日の子どもたち

トルーマン・カポーティ著、村上春樹訳、文春文庫
誕生日の子どもたち (文春文庫)
たまたま外出先で読む本がなくなり、珍しく書店で購入。最近はほぼAmazonで本を購入してきたので、たまに書店に行くと、買うべき本を選ぶのに意外と迷う。結局、ある意味無難な領域になっている村上訳を購入する。
題名にあるとおり、カポーティが書いた少年を主人公とする短編6編を収録。うち3編は、カポーティ自身とみられる少年「バディ」と、歳の離れたいとこにあたる老女の交遊が描かれている。そのみずみずしい文体は、カポーティのいわゆる「俗っぽい」生活と見事なコントラストをなしている。「訳者あとがき」によれば

そのような自己分裂と矛盾がトルーマン・カポーティという人間とその作品の根本をなしていると言えなくもないだろう。

ということになる。早熟な作家の、ナイーブさを再発見。買ってよかった。