パリ、ジュテーム

オムニバス、2006年仏独合作
パリ、ジュテーム プレミアム・エディション [DVD]
パリを舞台に「愛」をテーマにした18の小さな物語を集めたオムニバス映画。いちいち列記することはしないが、とにかく監督、キャスト陣が豪華。
何気なくアマゾンのランキングを流していて発見し、購入した。大学時代の長めの一人旅の終着点だったパリは、以来、訪ねたことがある世界中の都市ナンバーワンである。あの独特の雰囲気がいい。長い歴史の重厚さと、計画された都市としての調和。それでいて華やかさからくる「軽さ」も備えている。そんな都市はなかなかない。先日のNHK探検ロマン世界遺産」に続き、最近はなかなかパリづいてきた。
1編あたり5分ぐらいの長さの短編を次々と見せる。観る前には「どうせそれぞれ尻切れトンボの『芸術的な』映画なのだろう」と予測していたが、見事に裏切られた。それぞれパリ市内の全20区(だったと思う)のうちの18区を別々に取り上げて、それぞれが完結したストーリー。必ずしも舞台が「パリ」でなくてもいいような話もあったが、逆にそれが「パリの日常」を垣間見ているような気がしてよかったりする。また、いわゆる古典的な「パリの恋」みたいなテーマを取り上げた作品はほとんどない一方で、人種や移民をテーマに据えた作品が目立ったのはいかにも現代的だった。今日では「フランスの移民問題」もまた「ありきたりな話」に陥りやすいが、それぞれ楽しめる映画に仕上がっているいたのはさすがだ。
この中でナンバーワンを上げるのはかなり迷うが、あえて一本に絞るとすると、日本人びいきは全くなく諏訪敦彦監督の「ヴィクトワール広場」を挙げたい。パリの子供とカウボーイという取り合わせの妙と、子を失った親というジュリエット・ビノシュにうってうけ(?)の配役、ウィレム・デフォーの存在感。何よりも私の涙腺が緩んだことが大きい。わずか5分の映画で泣けるとは思わなかった……。
ディスク2には、よくあるメイキングのような映像がこれも18編分収められている。本編よりも長いんじゃないかという気もするが、こちらもオススメ。