国際環境法講義 第2版

西井正弘・鶴田順編、有信堂

国際環境法講義〔第2版〕

 図書館で借りる。書名から想像できる通り、国際環境法の教科書的な本。「講義」とさいれているが、話し言葉になっている訳でもなく、普通の概説書である。第一部の総論として、環境条約などの形成過程や持続可能な発展(開発)などを概説し、第二部の各論として、気候変動(地球温暖化)や海洋汚染、生物多様性などのテーマごとに関連する国際法の仕組みや特徴を概説していく。

 非常によくまとめられていて、勉強になることも多いが、当たり前ではあるが、いかにも法律の教科書的な体裁で、なかなか頭に入りにくいことは否めない。むしろ、最大の売りだと感じたのは、より具体的な個別テーマを概説するコラムである。時事的な問題を取り上げることも多く、例えばコラム⑫「日本のIRCW脱退と商業捕鯨の再開」では

 捕鯨問題は、漁業問題として扱うか、環境問d内として扱うかで大きく見え方が変わる。地球環境が大事であることはいうまでもないが、ある問題を環境問題として扱うことが適切か否か、捕鯨問題は、このことを考えるうえでも良い教材といえる。

と端的に指摘している。また、⑬「ウナギの国際取引規制」では、台湾で輸出が禁止されているウナギの稚魚が香港に密輸されてから日本の輸出されていることがさらっと紹介されていたりする。あくまでも本文の「おまけ」という位置づけなのだろうから仕方がないのかもしれないが、それだけにコラムの文字が本文よりも小さく、読みにくいのが残念であった。