環境法入門 第4版
図書館で借りる。題名を読んで字のごとく、環境をめぐる法律についての入門書である。この「有斐閣アルマ」というシリーズは、私の大学時代にはなかったが「新しい時代の大学テキストシリーズ」で、「新しい豊かな時代の学生にふさわしい やさしさ・親しみやすさ」「豊かな情報量をコンパクトサイズにおさめた機能的編集」などを特色としているらしい。ちなみに「アルマ(ARMA)」とはラテン語で道具・方策・手段を意味するのだという。
本書については、環境についての国内法や国際法の概説がメーンだが、最初から法律の解説ではなく、まず「第1幕 環境法のトピックス」が置かれ、その中に「第1章 自然保護」「第2章 廃棄物・リサイクル」「第3章 大気汚染・温暖化」とテーマごとに現状が紹介され、第2幕が法律や判例を解説する「環境法の基礎知識」となっている。先に日ごろ触れるような話題から入るという一風変わった編集も、新たな時代のテキストというものを意識した結果なのかもしれない。
内容的にも通読しても疲れない程度に、きっちりとした情報量がある。例えば、環境をめぐるニュースなどでもよく耳にする「保存」と「保全」についても
学説上、「保存」(preservation)は人間が環境または生態系を使用しないこと(non-use)を意味し、「保全」(conservation)は人間による、そして人間のための「賢明な利用」(wise use)を意味するという考えがある。
と端的に紹介している。また、廃棄物処分場の反対運動については
周辺住民が廃棄物処分場などの迷惑施設の設置に反対する現象は、「うちの裏庭お断り(Not In My Backyard)」症候群(NIMBYシンドローム)の典型例である。しかし、廃棄物処分場の持つ環境汚染リスクを考慮すると、予定地周辺住民のNIMBYを単なる住民エゴとして片付けることはできない。
などと記述しており、身近な問題として考えさせられる部分も多かった。