中国・アメリカ 謎SF

柴田元幸、小島敬太編訳 白水社

中国・アメリカ 謎SF

 図書館で借りる。英米文学者の柴田元幸氏と、中国・広州に拠点を置く歌手(?、小島ケイタニーラブとの名前で「みんなのうた」に歌を提供しているらしい)、小島敬太氏による米中作家によるSF短編のアンソロジー。訳書が刊行されていないことを条件に、比較的新しい作品が7編(中国4、米国3)収められている。

 人工知能や、核戦争(?)後とそこに現れる過去の人間の物語、未来の「改良」された人間など基本的にSFの設定がかなり網羅されているが、AIの機械の動力など、意外な仕掛けが施されている作品が多く、やはりかなり現代的である。焼き肉だらけの惑星の話など、確かに「謎」な物語も多い。

 SFは普段、あまり読まないうえ、中国の小説となると、いよいよほとんど読んだことがない世界(中国人の作品でもA THOUSAND YEARS OF GOOD PRAYERS - a follower of Mammon を読んだことがある程度)だったが、巻末の対談で柴田氏が

中国とアメリカで選んでみてどうなるかと思ったけど、意外にも、二国間でいろんな符合がありましたよね。

 と言うように、不思議なほど違和感みたいなものを感じなかった。そのくらい中国の社会や現状にも理解、というか世界の画一化が進んでいることの現れかもしれない。そういう意味では読みやすい作品集ではあったが、物足りなく感じさせる点にもなっていることは否めない。