Agora10月号

Agora10月号

JALカード会員に宅配される月刊誌。遠慮がちに小さく「エグゼクティブのための知的情報誌」と銘打たれているが、ご多分に漏れず(カードを使わせるための)広告誌である。普通カードの会員の会員には届かないので多少「エグゼクティブ向け」なのかもしれないが、私は出張が多くなった時期にマイルがたまりやすい1ランク上の「Club-A」という種別の会員になった。今は職場が変わったために出張も全くなくなり、たまったマイルの使い道にも困っているような状態だが、なんとなくダウングレードや解約をしないままでいる。カードにくっついているマイルやSUICA機能がどうなるのか確かめるのが面倒だというのが最大の原因だが、この雑誌をけっこう気に入っているのも確かだ。
紀行グラフのようなものが毎月の特集コーナーになっている。紀行文自体は残念ながら毎回さほど面白くないが、きれいな写真が載っているページをぱらぱらめくるだけでも楽しい。また、巻頭にある世界各都市のコラムもなかなか興味深い。
ただ、今月号で印象に残ったのは、まさにエグゼクティブ部門である。「ヒッキー・フリーマン」のスーツやら「TUMI」のバッグやらを特集(そうは明記されていないものの、これは完全に宣伝)するページの冒頭の伊藤緋紗子さんなるエッセイストの文章。ヘンリー・ミラーの元恋人(ブレンダ・ヴィーナスという名前らしい)の「女性の前で魅力的であるために」という著書が引用されている。

 この本を読んでみると「現代の魅力的な男性は、快適な肉体と清潔な肌と心地よい服をまとっている。身なりをかまわない男は愛されない」とまで書かれてある。

当たり前という気がしなくもないが、男性相手に化粧品を含めたファッションモノを売るための殺し文句としてこれ以上のものはないだろう。ミラーの元恋人がもっと有名な人であれば、この言葉は相当使われたと思う。まあ、実際は魅力的な男性が「快適な肉体と清潔な肌と心地よい服をまとっている」わけなのであって、その逆、つまり「快適な肉体と清潔な肌と心地よい服をまとって」いれば必ず魅力的な男性になるという訳ではないのだが。