ニュージーランド エコ紀行

青柳光郎著、七つ森書館

ニュージーランド エコ紀行

 図書館でたまたま見つけて借りる。題名の通り、ニュージーランドのエコツアーなど環境再生と観光の取り組みを紹介する2008年の本。著者は朝日新聞の元記者らしい。2001年に新聞社の企画で訪れて以来、毎年のようにニュージーランドを訪問しているという。

 ニュージーランドというと、自然豊かというか、むしろ手つかずの自然が残っているイメージがあるが、先住民マオリやヨーロッパ系移民による動物の持ち込みや牧畜のための開墾などで、原生林の面積は国土の70%から23%までに減っているのだという。そんな反省にたって、観光やボランティアに取り組む人々を紹介していく。例えば、観光客が木を買って、それを地元の人たちが育てる「旅人の木」では、GPSを使ったりしてホームページから自分の木がある場所を確認することもできる。また、マオリの人たちの生きる糧にもなっているエコツアーや、オークランドなど都市近郊での島の再生活動なども紹介される。

 環境先進国らしく、幅広い活動が、さまざまな人を介して行われていることがよく分かる。その根底にあるのは、マオリに教わったこととして紹介される、次の言葉だろう。

 良好な環境を次の世代に残す、と言いますが、それは間違いであり、おこがましい。環境と言うのは、私たちが将来の世代から借りているものなのです。