世界一しあわせなフィンランド人は、幸福を追い求めない

フランク・マルテラ著、夏目大訳、ハーパーコリンズ・ジャパン

世界一しあわせなフィンランド人は、幸福を追い求めない (ハーパーコリンズ・ノンフィクション)

 図書館で借りる。題名からすると、フィンランドについての話かと思いきや、いわゆる哲学書である。幸福や人生の意味について、いかに考えたらいいかを説く。著者はフィンランド人だが、あまりフィンランドの話は出てこない。出てくるのは少しだけで、例えば、2018年、19年の世界幸福度報告で1位にランキングされながら、国民感情の幸福度は低く、うつ病罹患率が高いフィンランドは、人口1人当たりのヘヴィ・メタルバンドの数が最も多いことを紹介し、

 普段控えめでつつましく、それに誇りを持っているフィンランドの人たちにとって、ヘヴィ・メタルは精神を開放し、浄化する作用を果たしているように見える。大声で叫ぶことで、抑えつけられていた負の感情を外に出すことができる。カタルシスが得られるということだ。

としているくらいだ。あとは、一般的な人生の意味や死すべき運命との向き合い方などについて書かれている。言うなれば、迷える現代人への人生の指南書である。

 人生をプロジェクトととらえず、その過程を大事にすべきだというのがその結論で、納得がいくものではある。しかし、もはやなぜ本書に興味を持ったのかは忘れてしまった(おそらく新聞の書評か何かだろう)が、「題名に騙された」と言っていい類の本であることは確かだ。