やわらかな心をもつ

小澤征爾広中平祐著、新潮文庫
やわらかな心をもつ―ぼくたちふたりの運・鈍・根   新潮文庫

梅田望夫さんのブログMy Life Between Silicon Valley and Japanで紹介されていたのを読んで購入。
梅田さんは「ぼろぼろになるまで読んだ本」として紹介されていましたが、
まさしくそれだけの価値がある、日本が生んだ天才2人による人生指南本と言えるでしょう。
その要点はひとことで言えば、楽天的でいることの重要性を説いているということではないでしょうか。
この対談は1976年のものということなので、お2人とも40代の頃。それぞれの分野で成功した後のことなので、そういうことも言えたのかもしれません。しかし、この「楽天性」をめぐる調和は感動的でさえあります。
たとえば、小澤さんは

で、ぼくはおやじに言われて結局わかって、得をしたのは、これはもう嫉妬心を殺さなきゃあもうとても生きていられないと思ったことなの。とにかく嫉妬心を殺そうと思った。その時は殺せなかったと思うんだけどね、ほんとうには。でもその嫉妬心を殺すために努力したことが、あとになってとってもいいことになった。

とジェラシーを殺すことの重要性を語っています。
他方、広中さんは

だけど、最近、一般に鈍が欠けているんじゃないか、と。ぼくなんか、幸か不幸か自分が生まれつき鈍だから、そういうのを聞くと意を得て、〝これだ!〟って思う。(笑)

として、鈍感でいることの大切さを説いています。
確かに成功者の「余裕」と取れないこともないのかもしれません。それでも、すぐに感情的になって損ばかりしている私のような人間にとっては、たいへん参考になるのではないでしょうか。