告白

湊かなえ著、双葉文庫
告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)
本屋大賞受賞作で、松たか子主演で近く映画が公開される。そのためか、ものすごい売れ行きのようなので、読んでみた。
退職前、最後のホームルームで、シングルマザーの教師が「娘は、このクラスの生徒に殺された」と衝撃の「告発」をする。犯人とされた中学生2人のその後を中心に物語が展開する。
著者は元教師といい、いわゆる「モンスター・ペアレント」の問題や、親の過保護、空回り型熱血教師など、今日的な問題を取り上げ、語り口も、女教師の独白に始まり、雑誌への投稿や日記など工夫がみられる。
ただ、結局のところ、女教師の「復讐」の物語で、なぜ「告白」という題名にしたのかよく分からないくらい。いくら4歳の愛娘を殺されたとはいえ、「中学生相手にここまでやるか」と思わされ、感情移入はできず、カタルシスもない。それが「今の先生」のリアリティーだと言われればそれまでだが、要するに生徒を恨む教師というのは、敗戦を選手に帰する監督のようなもので、後味が悪い。