鴨川ホルモー

万城目学著、角川文庫
鴨川ホルモー (角川文庫)
万城目氏のデビュー作。京都の四大学のサークルが、「ホルモー」と呼ばれる伝統の「戦い」をする。戦いで使うのは

ここで、親指と人差し指でマルを描き、そこにすっぽり入るくらいの茶巾絞りを思い浮かべてもらいたい。身長はせいぜい二十センチほど。頭が茶巾絞りである他は、ふつうの人間とさして変わらない。

という姿の「鬼」。これを500匹〜1000匹といった規模で大量動員する。
物語は、この競技の京大のサークルに入った男を主人公にした青春劇で、上記の通り「鹿男」より奇想天外。ただ、前置きと実際の競技が始まってからの物語のバランスが今ひとつなのと、結局、ホルモーが何のためにあるのか、に答えが示されないままなのが物足りなかった。その意味では「鹿男」の方がよくできた物語だったと言える。