夜は短し歩けよ乙女

森見登美彦著、角川文庫
夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)
「鹿男」の万城目学氏と同じ京大出身の若手作家による作品。京大を舞台とするコミカルな恋愛物語。サークルの後輩である「黒髪の乙女」に一目惚れした主人公が、夜の先斗町や学園祭などで彼女を追いかけますさまを独特の語り口で描く。例えば、古本市で出会う少年の神様(?)に、次のように語らせる。

忙しいって言う人間ほど閑なものだ。閑であることに罪悪感を抱くから、やたら忙しいと吹聴したがるんだね。だいたい、本当に忙しい人間が古本市をブラブラしているのは理屈に合わないぜ

独特の「ノリ」は好みが分かれるところかもしれないが、万城目作品よりも「大人向き」と言えるかもしれない。