推理小説作法

江戸川乱歩松本清張共編、光文社文庫
推理小説作法―あなたもきっと書きたくなる (光文社文庫)
背表紙の表現を借りれば、「日本ミステリー界の二大巨頭が編者を務めた伝説的な名著を半世紀ぶりに復刊」とのこと。この2人のみならず、同時代の推理作家や評論家らがテーマごとに書いた「推理小説」についてのエッセーを集めた。特に巻末の松本清張の「推理小説の発想」には、日記形式で作品のヒントになりそうなネタを記した「創作ノート」も収録されていて興味深い。中には医学博士による死体の鑑識についての文章などマニアックなものもあり、実際に作品を書く際にどの程度参考になるのかは分からないが、おもしろく読み進むことができた。
中でも松本清張の文章に

虚構の火を燃えあがらせるのは、現実の焚火です。

とあったのが印象に残った。創作教本などでよく言われる「大げさな表現を排せ」ということだが、松本清張の言葉だけに重い。