田宮模型の仕事

田宮俊作著、文春文庫
田宮模型の仕事 (文春文庫)
プラモデルで知られる「タミヤ」の社長による会社の「自伝」。静岡の製材屋から木製模型、プラモへと進化し、世界で取材、営業をする姿は、ソニーの成功譚を彷彿とさせる。特に、模型とは直接関係ないが、イスラエルへの取材旅行の際の場面として

ただ、夕食を大衆食堂でとっているとき、みんな熱心に夕刊に目を通していました。エジプト、ヨルダンなど敵対している国に囲まれているため、情報にたいしてはとても敏感だったのです。

としていたのが印象に残った。日本では新聞が読まれなくなったと言われるが、こんなことも一因ではないかと思わせた。それをミリタリー模型で知られるタミヤ社長の描写で知るというのも、何となく面白かった。
なお、本書の単行本刊行は1997年、文庫化は2000年。ミニ四駆ブームが去って久しいが、タミヤは今、どうなっているのだろう?