伝わる英語表現法

長部三郎著、岩波新書

伝わる英語表現法 (岩波新書)

 紙の本で読了。たまたま地元の書店で見つけて手に取った。苦手とする英語のライティング能力向上の足しになればと思って。

 著者は外務省の通訳などを務めた大学の元先生。それだけにかなり実践的な英語学習法を説いている。特に日本語と英語の違い、もっと言えば日本と米国など英語圏の文化に違いに踏み込んで紹介し、その習得を助けようとしているのが最大の特徴と言える。例えば

 日本語は概して言葉がコンパクトで、文章になると「行間」が広く空いています。一方、英語はくどいほどに説明的ですから、日本語に対しては、いつも行間を読むという姿勢が必要になります。言葉の置き換えでは到底間に合いません。「埋める」ことは、抽象的な日本語と具体的で説明的な英語の「差を埋める」作業だといえます。

などと、その言語感覚の違いと、逐語的な翻訳からの脱皮を訴えている。

 また、難しい単語をなるべく使わないように勧めているのも特徴で、この辺りも英語学習者にとっては勇気づけられるこのである。

 新書という体裁だけに、練習問題はあまりなく、本書を1回読んだだけで内容が身に着くとは思えない。しかし、英語の「理解」を超えて、「使える」英語を学ぶための根本的な考え方を知ることができる良書である。

 久しぶりに繰り返し読むべきだと思う本と出合った。