ルネサンスの女たち

塩野七生著、中公文庫
ルネサンスの女たち (中公文庫)
「我が友マキアヴェッリ」に続いてチェーザレ・ボルジアの話を読もうと思ったが、図書館にて貸出中だったため、代わりに借りた。塩野氏のデビュー作らしく、この文庫版の初版は、私の生年の1973年である。
政略家だったマントヴァ公爵夫人のイザベッラ・デステ、チェーザレの妹のルクレツィア・ボルジア、女傑のカテリーナ・スフォルツァキプロス女王となったヴェネツィア人のカテリーナ・コルネールの4人の生涯を取り上げている。生き方や境遇などはまさに4者4様といった趣。中でも最も面白かったのは、やはりスフォルツァの話だろう。
自らが君臨した小国フォルリが、落ち目となったルネサンス・イタリアの歴史の波に翻弄され、そのなかで「イタリアの女傑」と称される豪胆さを発揮する生きざまはダイナミック。そして何より美人なのである。12歳年下の敵将、チェーザレ・ボルジアまでもが、陣中の禁を犯すほどに惹き付けられた。クレオパトラを思い起こさせるような、妖艶な話なのである。