瀕死のライオン(下)
麻生幾著、幻冬舎文庫
書名の「瀕死のライオン」は、北朝鮮の工作員(傭兵)が自らを重ね合わせる銅像として物語に登場するが、特にこの下巻においては自衛隊の特殊部隊の(悲惨な)運命に重点が置かれる。また、世田谷一家殺人事件を思わせる事件が北朝鮮工作員によるものとされるなど、細部はさすがにリアル。例えば、ビジネスマンになりきって北朝鮮に潜入することになる自衛隊特殊部隊は
<チームA>は、それから二日間、ビジネス街をひたすら歩いては自分でも真似てみて、またある時はコーヒーショップで何時間も観察して何気ない会話に耳を傾け、トイレでの手の洗い方まで学習した。
との訓練をする。
ただ、この手の小説にありがちなことだが、終わり方は唐突で、消化不良の感は否めなかった。